最近降参した本

仕事で知り合った大手広告代理店に勤めている友人に勧められて「神の棄てた裸体」(文藝春秋)という本を読んだ。その友人の兄が書いた本だ。

同著ではアジアのイスラム圏に住む性的マイノリティがルポタージュされている。

異教徒ゆえに売春婦にまで迫害される東ティモール出身の物売り、マレーシアに流れ着いたインドネシア人のニューハーフ、掟に従い娘を銃殺したパキスタンの男性…。

筆者は、そういった人たちと実際に生活を共にしながら、あるいは酒を酌み交わしながら、同じ目線に立ってそれぞれのエピソードを語る。取材対象者との距離感はとても近くかつフラットで、まるで海外に「ホームステイ」しているようなヴィヴィッドな雰囲気がどの章からも立ち上ってくる。公にするためのある程度の演出はあるにせよ、おそらくそういう感覚で筆者はいるのだろう。

しかも、なお希有なのは、筆者が本の中で戦後民衆主義的な「公平」「平等」「正義」といった価値観(すなわち我々にとっての神)を棄てていないところだ。そして、絶望的な状況のなかで諦めず憤慨し、哀しむ。

ちなみに、大手出版社の社員にこの本の話をしたら、
担当編集者には絶対なれないと言っていた。
自分も同世代の同じ物書きとして悔しいけど降参です。

ちなみに第一作目の「物乞う仏陀」も傑作だ。
こちらは最後の章でインド人の汚職警官にボコボコに殴られて終わるんだけど、
まるで風車に向かって突き進んだドン=キホーテのような壮絶なエンディング。
筆者の感情がむき出しになっている分、状況のどうしようもなさがよけいに伝わってくる本。



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この記事へのコメント

あっざーす。
2007年10月31日 00:35
ゆうたの方です。拙書のご拝読ありがとうございます。
また近々のみにいきましょう~
2007年11月02日 11:48
初コメントどもですW。行きましょー。そーいえば知り合いのライターさんが、中学校でお兄さんと同じ学年だったって言ってたよ。

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